観たのはヱヴァンゲリヲン新劇場版:破と同じく7/1の映画の日です。小さい頃から1日に2本観るのは良くやってるので。
映画 ハゲタカ 公式サイト
元はNHKのドラマで人気を博して、ついに映画化にされた真山仁原作の作品。映画化が決まったときは「今の時代にどうやってこの重いテーマをやるんだろ?」複雑な心境になりましたが、鷲津さんがどう活躍するのか?とても興味津々で観てしまいました。
シナリオに関してはPRのまんまで、以前はアメリカの資本力で日本を買い叩く話だったけど、今回は中国政府の資本で芝野こと柴田恭平が勤めるアカマ自動車と言う日本企業が狙われる、と言うもの。
鷲津さんは既にプチリタイア状態だったけど、芝野の説得に折れ、帰国を決意するものの・・・。
テレビシリーズでは鷲津さんと一騎打ちをする元IT社長西野(松田龍平)が劉一華率いるブルー・ウォール・パートナーズの食わせ役として味方になっていたり、キャスターの三島(栗山千明)が相変わらず熱血取材をしていたり、ネジネジ中尾彬が頭取として更に悪さを増していたりと、お馴染みの豪華出演陣でした。
そして今回初登場キャラクターである劉一華 役の玉山鉄二が、とても良い演技をしてました。
残留日本人孤児三世にして優秀な中国政府系ファンドマネージャーで、実は大好きなアカマ自動車を買い叩こうとする微妙な役回り、突然表れるお金への執着心をうまいこと演技していたと思いました。
そしてそんな劉一華に”何者かになるんだ”とそそのかされてしまう派遣工の守山翔(高良健吾)とのやりとりは(金を)持つものと持たざるものの関係を表す非常に深いシーンだと思いました。
と、そんなこんなで出演陣もシナリオもNHKのドラマとして素晴らしく、純粋に良い作品だと思います。
人を動かすと言う事はロジックを超えた純粋なパッションだったりしますし、それを受け止められる環境が今無いのでは?と言う問いかけはとても納得の行くシナリオです。
ただ、個人的な感想としてはドバイに資金援助を頼んだあたりから、その後の鷲津ファンドの展開が何となくわかってしまった事もあって(孫子だよね)、クライマックスのどんでん返しのところであんまり盛り上がらなかったのでした。
単純にこの映画を日本人、日本企業、がんばれ!と言うメッセージとして素直に受け取る事も大切だと思いましたが、もし本当にまじめな気質の日本人が日本の資産だと言うのならば、実際に経済と言う現代の戦争下において国家がどれだけ存続出来るのか?企業だけではなく、ましてや単なる公的資金のバラマキをするわけでもない政治や教育制度が必要と思いました。
あいにく日本の政治が本質的な議論を始められる土壌には今のところ無さそうなのですが(それを伝えているマスメディアの質の低さも合わせて)、少なくとも経済、経営だけを語って国際社会で生き残っていられる程、生温い時代じゃないと再認識させられた映画でした。まぁ、その話を盛り込んだら「ハゲタカ」じゃなくなるけどね。
そんなわけで。
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