先月末の発売だったのですが、まだ本屋で売ってたので買ってみました。
”2030年 EVで変わる社会とクルマ”
第1章は
”21世紀のモビリティ社会を変えるEV技術の条件”と題して
慶応大学環境情報学部の清水浩教授のお話を中心に解説。
冒頭はかつてのZEV(Zero Emission Vehicles)ではかつてのGMの「EV1」の話やホンダの「FCクラリティ」の話など概略から。
EV1の話はこのDVDがおすすめ。
”誰が電気自動車を殺したのか?”
FCクラリティはこちら。
続いてエリーカのインホイールモーターのメリットなど図解で説明。
自動運転の話など、個人的には以前から可能性を感じていた要点も押さえてあり、概要としては良い内容に思えました。
慶應義塾大学 – 電気自動車研究室
運転好きは「加速があればいいんです」とばっさり斬られてしまっている点は、個人的には違うと思いたいのですが、まぁその割り切りで得られる新しい価値で補えば良いと受け取りました。
第2章は
”ゼロエミッションのクルマの楽しさとは?”と題してフォルクスワーゲンのモビリティとEVの話を書いてます。
VWの考えはエンジンをモーターに変えるだけではなく、
電気自動車と言う新しい技術を成功させるためにはポジティブな気持ちを生み出すデザインにするのが上手な方法だ(by ミュラー=ピエトラッラ氏)
と、この分野も新しいデザインで開拓したい意気込みを垣間見せてくれてます。
この辺からAXISらしい切り口だなと思いました。
第3章は
”EVで自動車業界の盟主の座を日産自動車”
題して2009年の東京モーターショーでリーフやランドグライダーを出展していた日産自動車を取り上げております。内容としてはあまり目新しい情報はないのですが、ここでもデザインの側面の解説がちょっと多めな気がしてます。
第4章は
”オルタナティブからメインストリームへ”
と題して、北米EVメーカーの代表的なクルマやバイクを写真付きで紹介してます
現在の技術でもデザインがどこまで自由か?知る意味で良いページだと思いました。EV=環境だけではないと言うメッセージを感じることが出来ます。
最後の第5章では
”都市のインフラの一部となるエラスティックなEV”
と題して、MITのメディアラボで進んでいる「シティーカー」を取り上げています。
MIT Media Lab -Smart Cities-
http://cities.media.mit.edu/
CityCarのイメージイラスト。
僕自身が期待しているのは例えばこの分野のシティーコミューターのカテゴリーのように、自動車業界だけではなくITや都市建築も含めて新しい市場を創出させていく事です。
もちろんこの分野を進めていく事だけでも大変ですが市場のポテンシャルは大きいでしょう。
安全なモビリティが生まれることで更なるチャンスを生むプラットフォームになると思ってますので、単なる化石燃料の自動車が電気自動車に変わる話で終わらせることなく、もっと新しいモビリティの世界に関わっていけたらと思ってます。
そんなわけで深くはないのですが、入り口としては良い特集だと思いました。
ちなみに表紙のおじさんはプロダクトは風景の一部として根源的に存在していると言う”ランドスケープ センタード デザイン”のコンセプトを唱えているサム・ヘクト氏です。確かに今は人間中心デザイン(ヒューマン センタード デザイン)が主流ですしね。
Industrial Facility
http://www.industrialfacility.co.uk/
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