不格好経営 南場智子 (著) 読了 #dena

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たまたまDeNAのFBで起業家トークをしている投稿(ビズリーチの南さんの回かな)が流れていて、結局は著書の紹介的な感じではあったのですが、面白く読んだ事を思い出して、Kindle版を購入して読んでみました。

本の紹介
Kindle版

単行本版


内容はある意味DeNA史がよくわかる本、と言いますか、大筋こちらの講演内容がエッセンスになっていると思いますので、あらすじは省略(興味が湧いたら買っても損は無いです)。

DeNA南場さんの講演「ことに向かう力」がいい話だったので全文読め – NAVER まとめ

書いてる本人が語ってるので違いがあっても困るのですが、読みやすいのでサクッと数時間で読み終わると思いますし、とても楽しく読み終えることが出来ました。
著者はボヤキ?が多い人なのかわかりませんが、素朴なツッコミが随所に散りばめられており、そのボヤキっぷりに大変共感する事が多い印象を持ちました(僕もぼやきが多いです。声に出してませんが、というより出せませんが)。

Amazon書評どうなってる?

Amazonの書評が盾でネタ化してからと言うもの、この書評を読むのも楽しくなって来たのですが、案の定(?)古いコメントは褒め中心、アンチな人の特徴は「ソーシャルゲーム自体への嫌悪感」、「なんだかんだ言って結局エリートなわけじゃん(肩書で本を読むタイプ?)」「で、結局DeNAの社会的使命ってなんなの?」的な流れなのかな、と感じました。

そもそものDeNAに対する自分の認識
個人的にもDeNAと言う会社について知っている事が少なく、その昔のネット黎明期に都内で「ビットバレー」と呼ばれる集まり、ムーブメントが起きた頃に何度か南場智子さんを間近でお見かけしたのが最も近づいた事じゃないかと言う程度です。

なので、この本で書かれているビッダーズ立ち上げで奮闘している頃は、ライバルサービスの「ヤフオク」をがんがん使っていましたし(そもそも個人が出品出来なかった)、商品数も圧倒的に差があったのでいくらあちこちのサイトで露出が増えていても全く使わなかったユーザーの一人です。

その後時代が動いて、ケータイビジネスの時期になるわけですが、ある日、会社の後輩に

「これハマってるんですー」

と言われ「怪盗ロワイヤル」をやり始め、これまたゲームなんて車ゲーム以外やらなくなっていたので、そんなに長続きせず、1ヶ月くらいでやめ、iPhoneに変えてからもう一度トライしては「これブラウザゲームやん」と思っていた位。
プレステを買わなくなってからはそれこそゲームがしたくなったらゲーセンで思う存分壁に車をぶつけに行く程度です(車のゲームしかしてないので)。

ようやく感想
そんな風にいわゆる「モバゲー」の成功によってDeNAを知った方とは全く違うバックグラウンドの人間がこの本を読み終えたわけですが、立ち上げ当時の話の情景が目に浮かんできました。

当時はマンションの一室で寝袋、雑魚寝な自称ベンチャー企業と言うところにも何度も足を運んだことがありますし、「丁寧に書いた」と言う失敗談の数々は「時代の空気感」も含めて思い起こす事が多々有りました。
だいぶ時間が経っているので美化された思い出になっている事も多いとは想像しますが、「時代の空気感」を共有できている方には面白く読めるでしょうし、それが出来ない人はせめて自分の周りで起きたムーブメントに置き換えて情景を浮かべていただけると印象が変わるのではないかと思いました。

そんなノスタルジックな感想しかないのかと思われるのもアレなので違う話も書きます。

本書で著者が意識している事として「アンラーニング」をあげていますが、たぶんここが著者の考え方と人柄で一番誤解を受けやすい事なんだと思うわけです。

「アンラーニング」をここでは平たく「色眼鏡なしで目の前の物事を見る」と置き換えてみます。

一般人(って誰だか今となってはよくわかりませんが)はもっと勉強もしないで物事に飛び込む(または「あまちゃん」の如く突き落とされる)事が多いわけで、その飛び込んだ先で仮に同じく失敗したとしても何かを得た人と、何も得ずに打ちひしがれた経験にしかならなかった人が分かれているんだと思うわけです。言い換えるなら、意思決定には大量の情報が必要ない、と後で気付くのではなく、その人が生き残っていれば、もう少し情報を集めて判断しよう、となるのがよくある成長の仕方なんじゃないのかな、と思った次第です。

右も左もわからないまま「つべこべ言わずに目の前の仕事を必死でこなせ!」と言う中で傷つきながら主人公が成長するストーリー(映画かよ)の方が共感を生みやすいと思うのです。

それ故、企業内の生え抜き幹部と呼ばれる方々はその手の情報をいくらでも出してくれるコンサルを雇うのがお好きですし、その方々に支えられて(上流の)コンサル業が成り立っているのもビジネスとしての実態とは思っています。

そのコンサル業から熱病を患っていきなり起業しちゃった著者が、昔のコネでもなんでも使って泥臭い社長業が楽しくなって今があります、と言う流れは、いわゆる普通の成長物語とは逆のプロセスであり、全く相容れない人がいても仕方が無い事だと思います(現実はいうがやすし・・・なので)。しかしそれ故、DeNAがここまで大きく成長した理由で、本書なりの面白さ、と思った次第です。

多くの方が自分の成長の結果、成れの果てなんて想像すらせずに毎日思い悩みながら生き抜いており、その結果としてその人の個性、クリエイティビティが強くなっていくわけで、本著で書かれている内容で最も貴重、且つ面白い部分は、人と違うバックグラウンドを持つ人が社会に揉まれながら他人にもわかる成長を続けているストーリーと言う事じゃないでしょうか。存命ゆえ、「続きはWebで!」的に本人が登場してしまうところも今っぽいと言うか。

そんな事を思う理由ですが、たまたまこの本を読む前に映画「STEVE JOBS」を観に行ってしまい、その勢いでiTunesで「スティーブ・ジョブズ 1995 ~失われたインタビュー~」の動画を買ってしまうという、本人語り系コンテンツ続きだったのです。
人の生き様を見て自分の生き方を見直すって事は大事だな、と思った今日このごろです。
映画の感想は別途書きたいと言うかあんまり書くことが無いのですが気が向いたら書きます。(こっちは故人ですし)

映像はiTunesでレンタル、または購入する事が出来ます。

Q2決算は良くなかったようです

そんな事を思いながらニュースを見ていて目に入ってきのがDeNAの2013年Q2の決算報告でした。

ざっと見た限り利益も配当もあるものの、特に国内のモバゲー事業は悪化状態の模様。本書では肝いりでスタートした海外(米国)もそんなに伸びてはいない感じなのでしょうか。

これだと著書に大事にしたいと書かれていた個人株主も心配しているんじゃないかな、と思ってとりあえずYahooの掲示板(2432 – (株)ディー・エヌ・エー – 株式 – textream)をざっと見てみましたが、荒れ気味の印象。
わざわざ書き込む位なのですごいレベル、と受け取るか、書き込んでいる方々が特殊と判断するかは悩ましいところですが、株主なので資産が減って喜ぶ人はいないでしょう。

週が明けて少し持ち直してるようですけど(といいつつ、元の相場を知らない)、書き込みで「ビジョンを出せ!」と言う趣旨のものを目にしました。それってこの本の事なのかな、とようやく買った本と現実のつながりが出てきたわけですが、目指しているキーワードの「delight」が具体的に伝わっていないと言う事が課題と言う事なのでしょうか。実際のところ僕もわかりません。

野球球団を持っていたり、瀬古さんが監督のマラソンチーム持っていたりとスポーツにも力を入れているようなので、掲げた目標を達成してみんなで喜びを分かち合う、のイメージなのかな、と安直に思ってはみました。確かにスポーツを介して社員が一丸となって応援する高揚感はあるのですが(勤め先にラグビーチームがありまして見に行ったら実感しました)、それと同じようにお客さんとあの高揚感を分かち合うためにはそりゃチームが勝つしかないんじゃないでしょうか。

既に耳タコな「SIPS」(Sympathize → 確認する : Identify → 参加する : Participate → 共有・拡散する : Share & Spread)が正しいとしても、人は「感動」しないと誰かにその事を共有する気にならないので、結局はわかりやすい成果として野球では優勝するしかないんでしょうし、モバイルインターネットなサービスにおいても各々のサービスの中でその具体的な高揚感をお客さん自身が感じるものを提供していきたいのだろうなぁ、思った次第です。
具体的にはこれから世の中に出てくるんでしょう(きっと)。
この手の話は体験とかUXとかじゃなくて信念、思想に近いものだと思いますので、単なるFunctionで役割分担して作る事は出来ない気がします。やはり地道にリアルにユーザーと対話しながら作っていくしかないんじゃないかな、と。

まぁ実態がわからないので単なる妄想ですけど。

たまたまが重なって手にとった本ですが、いろいろ考える良いきっかけとなりました。

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<2014/02/04 Updated>
著者の南場氏の講演で今後のVisionについて語っていらっしゃいました。
経営者向けの視点での講演だからか、万人向けの本書よりも具体的な内容になっており、とてもわかりやすいです。
DeNA南場智子氏「DeNAの成長の軌跡とグローバルNo.1に向けた新しい挑戦」前編 | GLOBIS.JP

プロフィール
書いた人
野崎 秀吾

Content Syncretist(コンテンツシンクレティスト)
✨ コーヒーとクラフトビールの愛好家で、在宅勤務を楽しむジェネレーションアルファ世代の父。Bromptonでのサイクリングをこよなく愛する。

最近のプロジェクト:
AIを活用して、架空のファッション雑誌風写真集を出版。デジタルアートの新境地を探求。
1999年から続く私のウェブサイトは、私の長年のライフワークであり、成長と学びの旅の記録です。未熟なコンテンツもありますが、それもすべてが私の経験の一部。SNSで私を見かけたら、ぜひお声掛けください。AIとクリエイティビティ、音楽制作の裏側、あるいは日常のことなど、皆さんとの交流を楽しみにしています。

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