飛行機で観た映画3本目はデビットフィンチャー監督、ベン・アフレック主演の「ゴーン・ガール」です。いやぁ、機内で見るのに向いているとは言いにくい作品でしたが失踪する妻エイミー役のロザムンド・パイクさんの演技は見応えがある作品でした。
ストーリー
ストーリーは結婚5年目の記念日に妻が失踪、しかも妻を殺害したのでは無いか?との疑いをもたれるようになるサイコスリラーです。ベン・アフレックが演じる夫、ロザムンド・パイク演じる妻、そして翻弄されながらも真実を求めて事件を追う警察の3つの視点に加え、強いて言うならそれをワイドショー的に楽しむ視聴者目線も含めて物語が展開していくあたりがデビットフィンチャー監督らしく、観客は否応なしに作品の世界に連れ込まれてしまう作品です。
まぁ予告編でしっかりと映画の設定をすり込まれてから見に行く方がどっぷりデビットフィンチャーワールドを楽しめると思います。
予告編
同じく第2弾の予告編も上がってました。
予告編第2弾
映画の感想
デビットフィンチャー監督の作品だと最近の代表作はFacebookの創業期を描いた「ソーシャルネットワーク」ですが、個人的には「セブン」のインパクトが強く残ってます。今回の「ゴーン・ガール」はそこまで頭を使わせない振りをしつつ、見終わると結構疲労感が残る濃い映画だと思いました。とはいえ別に難しいトリックは無いので、普通に追っていけば結末には違和感なく見終えることが出来るとは思いました。もちろんひどい話なんですが。
とはいえ、それは夫婦として生活した経験がある人じゃないと理解が進まないように思いました。そういう意味では映画が描いている世界を理解する人を選ぶ映画だとは思います。そして、映画自体は女性目線でもあるような気がしつつ、男性目線で作られている映画、と言う点を理解出来れば、エンターテインメントとして受け止められると思います。確かにスリラー映画なのですが、そこまでシリアスな映画ではないですし、僕は観ながら途中からちょくちょく笑いながら観ていました。
見所は妻役のロザムンド・パイクさんの演技
この映画での彼女の演技は素晴らしいです。作品のトーンを作っているのは彼女が演じるエイミーの深い闇の世界です。自分の闇の世界と日記で対話しながら着々と次のプランを作っていくある意味で妄想クリエーターなのですが、今回はその妄想を冷静に実行に移していく冷徹さが本当に恐怖を感じさせました。
そもそも僕がロザムンド・パイク主演の作品を最初に観たのは「サロゲート」です。
(サロゲートの感想文)
彼女はどこに出ていたの?ってそりゃこちらでもブルース・ウィリスの妻役です。知的な奥さん役がハマるって事ですかね。
そんな妻役が多い彼女がこの映画のキーパーソンですし、きっと男女でこの映画に対する評価も違うのも仕方が無いとは思います。
若干ネタバレ感が出てしまいますが、主人公夫婦の家で起きた事件は、男性目線で書くなら「男なんて何歳になってもバカなんだよ」って話が発端で「いい年こいてそれくらい知らないの?」と妻役エイミーに言いたくなる話ではあります。そんなバカのおかげでひどく傷ついた女性代表のエイミーが大復讐計画を決行してのがこの事件です。たとえ夫婦でも元々他人で、そもそも性別が違うので、それくらい感覚が違う生物が一緒の家で生活していると言う事を少しだけ理解しながら見ると、多少は身近に感じやすくはなるはずです。とはいえ、エイミーの幼少期からのストーリーを考えると、だいぶ変わった女の子だと思いますけど。
ロザムンド・パイクさんのインタビュー動画。
このインタビューでロザムンド・パイクさん自身が一人っ子だからエイミー役に抜擢された事が語られていますが、作品のキーを握るエイミーの”ちょっと不思議というかおかしい感覚”を、単なる”自己チュー女”にしなかったロザムンド・パイクさんの演技力のたまものだと思います。
僕自身も一人っ子なので、作品内のエイミー(妻)の行動や考え方に共感出来る部分も一応あったりはしますが、歳を取る過程でそれだけだと他人とぶつかることも多く、自分自身がコントロールする必要があるものだと知ったまでの事です。捨てられない自分のエゴってやつですかね。
まぁ、他の方のレビューを拝読する限り女性目線でエイミーに共感する人が割と多いそうですが、そりゃ事実ベースで考えれば夫役のベン・アフレックがやっている事が悪いのは明白で、その部分に謝罪がないからじゃないですかねー。最後まで自覚が無いというか。
映画では男女の感覚のズレについてコントラストがはっきりと描かれていましたが、大人気の原作の描かれ方にも興味が出てきました。
エンディングソングに「SHE」を使うあたりも含め、さすがデビットフィンチャー監督と言えるクオリティの作品でした。