早めに上がれる日だったので、僕が同じビルで働くことになった事もあって、同期の仲間と飲みに行く事になっていたのだが、諸事情で延期になった。お茶でもして帰ろうと思ったら、会社の裏の映画館で「ハート・ロッカー」がちょうど始まろうとしていた。観たかった映画ではあるものの、重そうで何とも足を運びにくかったので、こういうタイミングで出会ったのも偶然と思い観た。
万人にはお勧めできないが、アカデミー賞の作品賞をあげたのは間違いではないと思う。
そんな風に久しぶりにがつんと来る作品だと思った。
シナリオ自体は公式サイト等でも書かれているので省略しますが、イラク戦争時の爆弾処理班のお話で、とある処理班の行動を追ったドキュメンタリータッチの映画です。
その程度の前知識で見に行っても十分に作品を味わえる作品ですし、知らない方が制作側の意図をたっぷり感じられると思います。
タイトル画像になっている爆発シーンは確かに物語の始まりを告げる意味でも印象的だし、それこそ爆発自体をアートと呼ぶほど美しく描いているのではないかと思った。
そこからみるみるうちに作品の世界に取り込まれていき、ハンディーカメラで撮影した目線の高さから、戦場にいるかのような緊迫感で観客に迫ってくる映像になっています。あまりのリアルさに途中で息苦しくなった程です。
あまりネタバレしない方がいいと思うので細かい話は書けませんが、基本的に頭がおかしいやつが登場しているのに、それがおかしく見えなくなってくるところで、この異常な戦場の世界を伝えているんだと思います。その異常な世界で敵も味方も同じく生身の人間同士が、おそらく心底目的を理解しないままに命を落としているわけで、構成のテクニックも含めて観客を映画の世界にどっぷりと浸らせるようなシナリオになっていると思いました。
観終わった今でもまだ頭の中にいくつかのシーンの衝撃が残ってます。
同じく2009年度のアカデミー賞で対決しているような扱いになった「アバター」は映像面の美しさやシナリオのシンプルさで映画の世界にのめり込ませてくれるファンタジー作品でした。この「ハートロッカー」も映画の世界にたっぷり浸らせてくれますが、徹底的なリアルさ、よく練られたシナリオ構成等、高度なテクニックを見せつけてくれたと思います。
僕自身はエンディングに繋がるシナリオ運びはとてもしっくり来ましたし、制作側の意図がわかる良い終わらせ方だと思いました。出来れば暗くなる映画館で映像と音にハマっていただきたい作品。
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