5月13日から15日まで東京ビックサイトで開催されている”第18回ソフトウェア開発環境展”(他関連イベントが8つ位あります)に行ってきました。
「第18回 ソフトウェア開発環境展」ソフトウェアの開発・保守・運用のための製品・技術が一堂に集まる日本唯一の専門展
セミナーや講演にいくつか興味があったで来たのですが、展示も結構な広さなので1日では見切れなくて、合間の時間でまわってみてます。
そもそも、仕事は何しているの?と聞かれると、いちおう最近はモバイル分野のインキュベーションをしています、とお答えしてるのですが、厳密には所属している組織の立場上、”法人市場”のプライオリティが最も高くなってます。それ以外の事もやっているので実態がその通りかどうかは何とも言えませんが。
この担当になった頃、そもそもモバイル環境でやりたい事って、法人向けと個人向けで何が違うのか?と言う疑問がありました。
最近は慣れてしまいシンプルに、要件がひとつ増えるかどうかだろう位に思ってます。
その要件とは”セキュリティ”だと思ってます。
※それとあえて”モバイル”の定義はぼかしたまま書き進めます。
セキュリティと言う言葉も意味が範囲が広いのですが、個人市場でセキュリティと言うと個人のプライバシー保護と言う観点で捉えられる場合が多いと思いますが、企業が考える場合は最近だと”情報漏洩対策”に注力していて昨今のWebのカルチャーのようにネットに情報を出して行く流れとは反対に向かう傾向があると思ってます。
もちろん”100ねんにいちどのだいふきょう(棒読み)”と言う枕詞が付く”安い!”に勝るインパクトはありませんが。
動向としては、個人向けにはiPhoneのApp Storeの盛り上がりに現れている、Blackberry、Android、もちろんWindows Mobileと言った所謂オープン系ケータイOSの世界での動向は特徴だと思ってます。この流れに乗ってパーソナルコンピューティングが立ち上がった頃のように、ユビキタスコンピューティングな環境になっていくのはかなり確率の高い潮流だろうと思ってます。今のところ、”面白い!”や”便利!”と言う観点と広告、アフィリエイトの両立とかがビジネスモデルになりつつあるようです。
が、今回の各社の展示などを見ながら同じ温度がこちらにあるのか?等と考えると、法人市場と言う観点では残念ながら同じプラットフォームを使ったモバイルが盛り上がっているとはまだ言い難いです。
仕事でモバイル、でやる事と言えば
・メール
・スケジュール
・アドレス帳
他にせいぜい何かの書類を作ったり、受け取ったり、ですよね。携帯じゃなかなか難易度高いけど。
そもそも米国の企業ではMS Exchangeの導入率が割と高いので、まずここに対応しているスマートフォンはメールが読み書き出来て、スケジュールも管理出来るし、簡単な端末の管理も出来ちゃうから必要十分と言う企業は結構あるようです。日本の企業はそもそも普通のストレート携帯の方が導入コストが安いって事に加え、”情報漏洩”と言う観点からこういうデータを同期するタイプのソリューションはあまり使ってません。昨年はこの同期サービスで伸びていたインテリシンクも法人事業は撤退しました。
Intellisync Mobile Suiteの販売終了と今後の保守サポートのお知らせ | プレスリリース | インテリシンク
では全く何も無いか?と言うとそうでもないようです。
例えば先日リリースされたCitrix社のiPhone向けシンクライアントとかの発想は日本の法人ユーザーも気に入るかも知れないソリューションのひとつだと思ってます。確かにシンクライアントなら理論上データは情報漏洩しませんから。
米シトリックス、iPhone用のシンクライアント・アプリを発表 − @IT
僕も早速デモサイトを使ってみましたが、安全性を手に入れた代わりに何かを失った印象でした。使い勝手と言う当たり前の観点ではもうちょいかな?と思いました。そもそもサーバが高価だし。
似たようなコンセプトやソリューションを標榜しているサービスを会場で見かけたので、今後この流れは所謂スマートフォンの世界で流行しそうな気配でした。
他の視点では「仕事でモバイル」って言うと携帯よりPCの方が圧倒的に多いって事だと思います。
会場でも久しぶりにノートPCを片手に走り回ってる人をたくさん見ました。
そうなると、そのパソコンからデータが流出しないように管理したい!と思う人が出てきて端末管理のソリューションを導入したい企業が出てきます。
もちろんスマートフォンではもともと端末内に通信モジュールが入っているので、やりやすい状況にありました。例えばこちらの記事にあるようなお話です。
第8回 開発の自由度高めるスマートフォン(後編):ITpro
一般的にiPhoneアプリを開発している方々がさほど熱心に考えないような分野だったりしますし、アップル自体も一般向けにはそこまで詳しく情報を開示してません(もちろんenterprise向けの開発者なら知ってる話ですが)。なので、こういう観点ではiPhoneより過去の資産が多いWindows Mobile系が根強い印象も納得です。
先日、このスマートフォンと同じようなコンセプトの製品が発表されていました。
HDD暗号化を併用:遠隔操作で紛失PCのデータ悪用を防止する新技術、富士通が10万台規模で導入へ – ITmedia エンタープライズ
富士通+ウィルコムのコラボですが、ウィルコムは以前からカーナビでも同じように通信モジュールとして使われてきていますので、ここまであればこういうソリューションが安価に手に入るようになれば、確かに「スマートフォンって中途半端だからいらないかも」と思われても仕方ないかもなぁと思いました。
ダラダラ書きましたが、同じ端末を使っていても、要件がひとつ増えるだけで、こんなにも出てくる製品やサービスが違ってくるので、見慣れた景色でも視点を変えてみたらあちこちにヒントが転がっているものだと会場に来て改めて思いました。
そんなわけで。
※あとで加筆/修正するかも。
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