タテとヨコをつなげるにはまず”世界(観)を定義するスキル”が必要

元ネタ:グローバルなイノベーションの中で誰が価値を獲得しているか ~ 亀山型かiPod型か:村上敬亮 情報産業の未来図 – CNET Japan

Cnetで連載されているMETIの村上敬亮氏のブログで”ものづくり”の面でモデル比較をなさってます。

こんな比較だと思います。

1.亀山モデルは製造工程の垂直統合、クローズ志向

2. iPod型モデルはデザイン、商標を押さえて製造は外部。でも利益率が高い。

当然どっちが良く、どっちが悪いとは書いてないわけですが、村上氏自身が最後にまとめているとおり、

「我が国は何故、垂直統合モデルに強くこだわり続けるのか。iPodのようなオープンなビジネスモデルは成立し得ないのか。」。もっと単純に言えば、「今後我が国企業が追求すべきは、亀山モデルか、iPodモデルか、いずれなのだろうか。」という論点

がテーマです。

このエントリーを読み始めて最初に気になったのがiPodをハードウェアだけで語っている点でした。ソフトウェア側の世界から考えれば、十分すぎる程立派なハードウェア、それこそ普通の家電メーカーと戦える程のクオリティーを持ったソフト・ハード一体商品を販売している、と見る事が出来ます(普通そう見るでしょう)。 パソコン上で動くソフトの世界ではiPodよりもっと前から音楽を楽しむ事は出来たわけですが、このパソコンワールドにおいて、Walkmanのように音楽を外に持ち出せることを提案したのがiPodだと思います。もちろんそれよりずっと前にMPmanに始まるMP3プレーヤー戦争は始まっていたわけですが、やはりここもiTunesと言う音楽ライブラリーを管理する点で優れているソフトのおかげでAppleが優位に立ってきたと思います。

村上氏がこのブログの中で伝えようとしている内容の”タテとヨコをつなげる”点の話はこっちのストーリーから語っても、似たような事に繋がる気がします。

もちろん、村上氏がソフトの話をしていないわけではなく、以前のエントリーにモロそのテーマのものがあります。

デジタルとデザイン ~ iPodはHardware? Software? それともSenseware?:村上敬亮 情報産業の未来図 – CNET Japan

タイトルだけで思いっきり興味を持ってしまうエントリーです(デザイン、ハード、ソフト、センスウェア)。このエントリーはある意味、そのつもりで読んでる人にとっては伝わるエントリーだと思いました。少なくとも「ユーザーインターフェースが大切!」の一言で片付けてしまっては勿体無い話です。

脱線しますが先日、渡辺 弘美氏の講演で「ウェブを変える10の破壊的トレンド」をいただいたので読みましたが、こちらでもUIは1つのテーマとして取り上げられてます。

紹介だけで話を戻しますが、村上氏のこのエントリーから引用させていただきますと、

日本の産業は、技術で一定方向の進化を加速させることには強い。でも、それだけをいくら追求しても、有機的な産業のヨコ連携は生じない。

この後に続く部分がとても良いので全部引用してしまいます(人任せ)、

今や、市場競争の根幹は、個々のモジュールの品質・性能というよりも、それを取り囲む市場全体のアーキテクチャデザインに関する主導権の確保と、アーキ全体に対する信頼の確保にあることは、一部の人には、強く意識されているところです。しかし、新たにアーキを造り、次世代の市場を主導していくには、この SENSEWAREに対する圧倒的な市場支配力が必要です。

言い方を変えるならば”世界(観)を定義するスキル”って事じゃないかと思います。

アーキテクチャー自体が定義された上で、「どの製品が良い!」、「これからは○○が新しい」、「○○を知らないなんて遅れてる」等、ちまちまとした議論をしても、結局は誰かの手のひらの上で踊るだけと言う事かも知れません。もちろん踊りたくて踊るときも日本にはあります。基本的にお祭り好きです。なのでそういう点を強化して”お祭り民族”としてのキャラを確立して国力にする、と言う話があるのかも知れません(まずはブラジル人と戦う必要があるな)。でも「まぁ別に余計な事を知らなきゃ大して心が痛まないからそれでいいんでね?」って人も多いのではないでしょうか?

あまのじゃくな自分は全体が右に行くときに、なぜみんなが右に行くのか?考えたくなります。ま、考えてなんかなくて何となく同じように右に行くのは面白みを感じなくなる、と言うだけかも知れませんが、こういう性格のおかげでいくつもきっかけを得た気がしてます。

で、自分の話はおいといて、ソフトの話が出てくると、iTunes StoreやApple Storeがやっているサービスの話も当然出てくるわけですが、これも11月にエントリーがありました。

製造業とサービス業  ~iPodは、ものか? サービスか?:村上敬亮 情報産業の未来図 – CNET Japan

このエントリーの特に烈しく共感した点を引用させていただきます。

大切なのは、ものがどういう機能や品質を持っているかではなく、そのビジネスが生活をどう変えるのか、ビジネスをどう変化させるのか、そういうアウトカム的な部分です

もー、おっしゃるとおりかと。あんまり自分の仕事の話は書かないようにしているのですが、このテーマに関しては日頃のストレスのタネなので軽めに書いておきたいと思います。

去年から仕事で「新しいサービスを作る」と言うテーマを与えられ活動してますが、企業内にいてこういう”アウトカム的な部分”を求めた企画を考えた場合、必ず起きることがあり、それは ”既存のサービスとの整合性”です。そもそもの発想が違うもの同士で整合が取れるわけが無いじゃないですか(w。仮に取れたとしても、売りに行けばお客さんにバレるでしょう。そんな人を小バカにした売り方したら。

なので、「全く新しい」なんて事が起きるわけがないし、いくら「世界(観)を定義」しても、既存の大して面白みも無いサービスにひきづられてインパクトも薄れてしまうわけです。そもそも仕事に「面白み」を求めてる人が少ない、と言う事態が輪をかけている気がしますけど。

僕自身の考え方ですが、わざわざ1日のうちの貴重な1/3以上の時間を費やしている空間が「新しいものを生み出せもせず」「笑いも無い」ような環境だとしたら、残りの1/3をどれだけがんばって遊んでも仕事の1/3の時間は苦痛だ(だって最近、徹夜で遊ぶと次の日が辛いんだもん)。なので、その時間を改善するように努力するのは当り前というか、自分の人生なんだから人様の顔色を見て右往左往して生きてたらご先祖様に申し訳ない気がするわけです。

もちろん、努力の場を変えるのもひとつのやり方ですので、転職市場はにぎわっているようですが、ここもまた性格が邪魔してて困る。あまのじゃくだし(w。

そういうごちゃごちゃした話をしだすと、飲み屋が似合う雰囲気になるので、本だけ紹介しておしまいにします。

デザイン・インスパイアード・イノベーション

ジェイムス・M・アッターバック (著), ベンクト・アンヌ・ベダン (著), エドゥアルド・アルバレス (著), ステン・エックマン (著), スーザン・ウォルシュ・サンダーソン (著), ブルース・テッサー (著), ロベルト・ヴェルガンティ (著), サイコム・インターナショナル (翻訳)

1月に発売になったばかりですが、デザイン力がイノベーションにどれだけ影響があるのか?と言うテーマが、自分の中で去年からもやもやしてた部分をかなりクリアにしてくれている気がします。

というわけで。