華氏9/11 ( Fahrenheit 9/11 )

ようやく全国ロードショーになった「華氏911 ( Fahrenheit 9/11 )」を観てきました。
ホントは先行ロードショーで観ようと思っていたのですが、いかんせん時間がなくて席の予約が出来ませんでした(恵比寿の映画館なので)。

で、まぁ何とかちゃんと休日になったので、観ることが出来たのですが、感想を一言で書くなら、観る価値は大あり。でも欲を言わせてもらうなら物足りないってとこ。

シナリオ等はまぁ単純で某米国の大統領は無能である事を訴えているだけ。ただ、それを裏付ける事実を豊富に調査・整理しており、それらをテンポ良く、そしてインパクトを与えながら繋いでいる点が、ただのドキュメンタリーでも、エンターテイメントでもない作品と仕上がっているところなのではなかろうか?タランティーノ曰く、「作品としておもしろいから評価した」そうで、確かに映像作品としてもおもしろい。

面白いビデオを作っている人は世界中にたくさんいると思うのだが、そういう人たちにも、映像によって自分の主張を世間に知らしめる手段としても、何かが出来るのではないか?と気付かせてくれると思った。ここまでの情報収集能力は感心です。そして、議員に対して息子を戦地に送るべきだと勧誘する場面などの笑い半分、後は皮肉なネタも織り交ぜながら、米国内に潜む階級構造を取り扱う等、比べるのも申し訳ない位だがテクニックも日本のテレビよりハンパなく高等だ。

次にその情報ソースについてですが、ビンラディン家がここまでアメリカ経済の中に入り込んでいた事実や、その結果から何の関係もないイラクと言う国とその国民、強いてはその戦地へ向かう羽目になった米国民とその関係者がもっとも被害者である、と言う事実は、元々ある程度想像が出来た話でしょう。しかしその事実を映像で観せつけられた上で、なおもまだ自分には関係ないと思う程、心が硬化した人は少ないと信じたいものだ。年を取ったから硬化する部分もあるかも知れないが、きっと年を取れば取るほど、こういう気持ちは現実味を帯びてくるのではないかと僕は思う。
そして情報ソース自体が現実を隠蔽している現在のマスコミの在り方についても同時に非難の目を向けるべきだと感じるのではなかろうか?まぁその点については既に多くの人がマスコミの情報だけを頼りにしていない現在においては大したインパクトもないとは思うが、この映画に使われている、某州内の入隊勧誘CMや避難用パラシュートのニュースなどは他国に住んでいる僕には新鮮な情報だった。元来マスメディアが持っていた事実、真実を伝える役割は、明らかに政治のプロパガンダとしてしか機能しなくなっており、もはや役目を終えたと見るべきかも知れない。メディア関連で先進国である米国を見ていると、この日本も同じ現象に陥っている事を改めて感じる。

で、どの辺が物足りなかったか?
ムーア氏の主張が薄かった点。観りゃわかると言われればそうだろうが、本でもインタビューでも言ってる事をなぜ映画で言わない?映像だけで足りるからだろうか?敢えて言わなかった?そのあたりは何かの折りにもう少し考えてみたい。

それから、米国の階級意識についてだが、皮肉なものだと思った。フランスでは過去に数度革命が起き、この階級を排除する国民の動きがあった。そのフランスは今回のイラク戦争にも、そもそもの米国の思想に賛同していない。だから何かと言われれば何も意図はないのだが、どの視点に政治家や国民が目を向けているのか?を考えるべきなのかも知れないと感じた。同じように個人主義の国と思っているのだが、政治家と国民の関係性はそもそもの国民性の違い以上に違った形態をしていると思った。

ひとまずざっと気がついた点だけを書き留めるとして、感想は後にまとめていけたらと思う。

華氏911